逆説のスタートアップ。プロダクトが成長の壁にぶつかっていると感じている人におすすめの一冊。

「逆説のスタートアップ思考」を読みました。スタートアップについて書かれた本は数少ないので、貴重な一冊です。
実際に読んでみて勉強になることが多く、試していきたいアイデアばかりでしたので、刺さったところをご紹介したいと思います。
目次
優れたアイデアは一見そうには見えない
例えばAirbnbは、自分の家の一部を他人が泊まるために貸し出すサービスとしてはじまりました。これは多くの人が「まさか」と思う、一見悪いように見えるアイデアです。
実際その創業初期、多くの有名な投資家が投資を見送ったと言われています。しかしそんなAirbnbも、創業からわずか8年ほどで評価額が3兆円を超える企業となりました。
〜中略〜
仮にAirbnbのようなアイデアを、ホテル業界の大企業の人が思いついたとして、果たして実行できたかというと、おそらくできなかったでしょう。上司には理解してもらえず、承認ももらえずに、そのままお蔵入りになっていたはずです。
スタートアップは誰も手をつけてないアイデア、他人からみれば悪く見えるアイデアを選ぶ必要があります。ただし、注意するのは、ほとんどは「悪いように見え、実際に悪いアイデア」だと著者も述べています。
いいアイデアか悪いアイデアか、成功するかどうかはやってみないとわかりません。だからこそ、リーンスタートアップでも述べられているように、小さなモデルをつくり、小さく試して仮説検証しながら、このアイデアはニーズがあるのかを判断していく必要があります。
いいアイデアは気づくもの
ポール・グレアムはスタートアップのアイデアは「考え出す」ものではなく「気付く」ものだと言っています。
それはつまりスタートアップとは、無理やりひねり出すアイデアから始めるのではなく、自分の経験から有機的に生まれてくるものから始めるべき、ということです。
ポール・グレアムという方は、Lispというプログラミング言語に秀でるハッカーで、作った会社をYahoo!に売却したことのある企業家です。この方は長年、スタートアップの成功のためのノウハウと考え方が詰まったエッセイをWebに継続的に公開している方です。
これはすごく共感しました。私もいろんなプロダクトを作ってリリースしてきましたが、人にウケそうだと思って作ったものは上手くいきませんでした。その理由は長続きしないからです。成功するためには、継続的に改善したり、広めていったり、サポートしていくことが不可欠です。
だからこそ、自分の経験から生まれたプロダクトでない限り、長い間情熱をもって取り組むことができません。
面倒は避けられない
多くの創業者が勘違いしていることとして「面倒な仕事は避けられない」ということが挙げられています。
通常、ビジネスでは誰かの代わりに面倒な作業を請け負うことでお金を得ます。面倒な仕事や泥臭い作業を避けることはできません。こまめにデータを集めたり、あるいは地道にセールスをしたり、という仕事が必要です。
弊社プロダクトCLOUD PAPERも郵送代行で依頼を受けたものを、私が手作業で投函していました。まだユーザーも少なく、ニーズがどのくらいあるかもわかりませんでしたし、自動で発送できるシステムを作るにはコストが大きすぎたからです。
ただ、実際に手作業でやってみると、気づくことが多かったのも事実。例えば、1社あたりどのくらいの枚数が多いのか、時期はいつなのか、封入枚数はどのくらいか、投函までの日数はどのくらいまで許容されるか、封筒をつくって投函するまでの時間コストはどのくらいかかるかといったことです。
このような業界の現場の経験を通しての気づきは大切で、これらを技術によって劇的に改善するアイデアにつながることも多いとのこと。
カスタマーサポートも製品開発
スタートアップにとってのカスタマーサポートとは、製品以外の体験を提供できる重要な活動です。つまり、より広い意味でのプロダクト体験をよくするための重要な一要素です。
特に製品を出した直後に寄せられたユーザーからの問い合わせは宝の山です。誰が買ったのか、どういう使い方をして問い合わせしてきているのかなど、直接ユーザーの声が聞ける機会は、製品開発へ直接的な示唆を与えてくれます。
SlackでもCEO自ら、半年間、ほぼ毎日サポートをしていたそうです。こうしてサポートを創業者自身が行うことで、顧客に愛されるよりよい製品を長期的に作っていくことが化膿となります。そして優れたサポートは、顧客を熱狂的なファンに変えて、自分たちの代わりのエバンジェリストにしてくれます。
これこそが大企業にはできないことだと思います。創業者・開発者が直接ユーザーの声を聞いて、改善していく…。CLOUD PAPERもそのようにして、改善していった機能が数多くあります。
直接対話してどんな使い方をしているのか、困っていることはなにかをダイレクトにきいて、しかもすぐに反映することができれば、そのユーザーは熱狂的なファンになってくれることでしょう。ぼく自身、そんな会社だったら、利用を辞めないし、応援したいと思います。
特にユーザー数が少ない初期は問い合わせを待つのではなく、こちらから利用者に声を聞くことがとても大事です。そうやってファンを増やしつつ、プロダクトの方向性も決まっていくものだと思います。
競争したら「負け犬」
「人とは競争しないような独自のポジションを築くことが、本来目指すべき場所である」ということをしばしば忘れがちです。こうした状況をみて、ピーター・ティールは「競争は負け犬のためのもの」「競争はイデオロギーである」と喝破します。
小さなスタートアップがいきなり競争の激しいところで勝負しても確率は低いですが、かといってニッチすぎる市場で勝負しても商売になりません。いまは小さくても急速に成長する市場を独占すべきだと書かれています。
まとめ
とにかく作ったものが必ず成功する保証はありません。要するに、何度チャレンジできるかが重要なポイントだと思います。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるといいますが、下手な鉄砲も打ち続ければうまくなるはず。
量が質を生む。アインシュタインは248、ダーウィンは119、フロイトは330の論文を書いているし、エジソンは1093の特許を取り、バッハは1000曲以上も作曲している。天才たちですら多くの挑戦と失敗をしている。
— Shingo Irie (@iritec_jp) 2017年3月12日
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