「シーマン」という珍しいゲームを世に打ち出すために仕掛けたのは、説明不要のメタファーだった

シーマン開発者の斎藤由多加さんの本を読みました。なかでもシーマン話がおもしろかった。
世の中おかしなことばかり。だが、硬直した頭では「目に見えないもの」に気付けないのが悲しい現実。本書では、『シーマン』や『大玉』の開発者が、日常覚える違和感の正体を追求し、そこに隠された本質を指摘します。携帯電話、空港、ディズニーランド…。これらに疑問を感じたことはありますか?読めば読むほど頭がほぐれる面白エッセイ。
シーマンは1999年にドリームキャストで発売された人面魚を飼育するゲーム。当初ぼくも買いました。このゲームの面白いところはマイクを使って会話ができること。ぼくも1人でテレビに向かってしゃべってましたが、恥ずかしかった記憶があります。それにしても、まだAIもなにも進んでない時代に、これをやったのはあらためてすごいことですよね。
そんなシーマンの広告を覚えている人はいるでしょうか?
シーマンには、こういう本当かウソかわかりにくい設定があったのです。写真で見ると、やけにリアルで不気味です。これにはこんな理由があったそうです。
ゲームというのは、言ってみれば「かけひき」の文法です。そこにはかならず目指すべきゴールや、守るべきルールというものが存在します。これらが共有されていなければゲームは成立しません。
ですから、当然これらの情報はマニュアルに記されるわけですが、それまで前例のないカテゴリーのゲームの場合、ゼロから説明することになります。したがってマニュアルがかなり厚くなります。
〜中略〜
「シーマン」という新種のゲームが、はたしてどんな分類のゲームなのかを知っている人は皆無です。それをすべて説明することは、容易ではありません。音声認識なんていう、まだまだ認知度の低い入力をユーザーに強いるわけですから、なおさらです。
〜中略〜
「シーマン」がセガから投入される際に、あまり大きな宣伝費を期待することはできませんでした。そこで、「シーマン」は「ゲーム」という言葉を一切使わず、すでに多くの人が知っているメタファーを使うことで、説明を回避する策に出ました。
そのメタファーとは「ペット」という言葉です。
この、謎の生物をペットとして飼うという切り口から興味を集めたのでした。
パッケージからマニュアル、広告にいたるまで「ゲーム」という言葉は一切使わなかったそうです。そのおかげで分厚いマニュアルを作らず、ユーザーへの理解も得ることができました。たしかに、みんなが知っているメタファーや例に置き換えて説明すると一気にわかりやすくなります。
ほかにもAIがまだ進歩していなかった時代にどうやってそれらしく振る舞わせたのか…など面白い裏話が書いてありました。興味のある方はおすすめです。
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