考える技術・書く技術。読み手の関心に向かって書く

「文章を頑張って書いたのに、あまり相手に伝わっていない気がする…」
あなたには、そのような経験はないでしょうか?
提案書、メール、SNSなど文章を書く機会はとても多いので、「伝わる技術」は覚えておいて損のない教養です。
そこで今回は「入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法」という本をご紹介。
著者の20年にわたる指導経験を生かし、主語や接続詞など、日本語ならではのポイントをきめ細かくフォロー。 ビジネス文書、eメールの書き方まで、すぐに使えるノウハウ満載。 1995年以来売れ続けるバーバラ・ミントの定番書 『考える技術・書く技術』の副読本としてもGOOD。
Amazon内容紹介より
目次
その文章が読まれない理由
文章の内容を決めるのはあなたではなく読み手です。
自分が書きたいとことを書くのではなく、読み手の関心に向かって書きましょう。
読み手は忙しいので、自分に関係がないものは読みません。
しかし、逆に言えば関係があるものは読むということ。
つまり、読み手の関心がなんなのかを理解すれば、
読んでもらえる文章を書けるということです。
OPQ分析で読み手の疑問を明らかにする
読み手の関心を理解するには、OPQ分析というフレームワークを使いましょう。
O Objective 望ましい状況
「O」とは、読み手が目指している望ましい状況です。そもそも読み手が現在の状況に至ったのには何らかの経緯があり、読み手はその流れの中でよりよい状況を求めています。「O」は読み手が考えている達成すべき目標や改善後の姿などを指します。
P Problem 問題、すなわち現状とObjectiveとのギャップ
「P」とは、現状と「O」(望ましい状況)のギャップ、すなわち解決すべき問題のことです。いわゆる「困った状況」のみを指しているのではありません。現状もそこそこよいが目標がもっと高いといった場合も、そのギャップは「P」と定義します。ここで忘れてはならないのが、問題とはあくまで読み手にとっての問題だということです。
Q Question 読み手の疑問
「Q」とは、問題「P」に直面した読み手が、その解決に向けて自然に抱くだろう疑問のことです。ここでも、読み手の視点をキープします。書き手の疑問を押しつけてはなりません。
A Anser 答え・文書の主メッセージ
読み手の疑問「Q」に対する答えが、そのまま文書の主メッセージとなります。大切なのは「Q」に忠実に答えるということです。ここでいきなり、OPQの流れを無視するような答えを提示しないよう注意してください。
本書から例をひとつだします。
非上場メーカーX社の副社長である鈴木氏は、1年前に某銀行から迎えられた管理部門担当副社長です。銀行出身の鈴木副社長は、何よりも健全な財務体質を維持することを最優先にしています。
しかし、副社長就任から半年、自ら陣頭指揮した内部監査で、まったく予期せぬ不良資産100億円の存在が発覚しました。調べを進めると、この不良資産は10年以上前のある出来事に端を発したもので、それが徐々に拡大していったものであることが判明しました。
鈴木副社長は、右腕である経営企画部門のあなたに今後の解決策を考えるよう命じました。
副社長の立場で、OPQを考えると
O(望ましい状況):健全な財務体質を維持する
P(問題):不良資産100億円の存在が明らかになった
Q(読み手の疑問):どうやってこの不良資産を処理すべきだろうか?
A(答え):この不良資産は…の方法で処理すべきである
と、上のようにOPQ分析をすると、読み手の関心がわかります。
あとは、A:答えである結論をベースに文章を組み立てていきます。
ロジックで説得力のある文章を組み立てる
読み手の疑問に対する答えが見つかったら、あとはそれに説得力をもたせることです。なぜその答えが導きだされたのかをロジカルに組み立てると説得力がでます。
ピラミッドをつくる
本書ではメインで帰納法のピラミッドが紹介されています。
帰納法とは、複数の特定事象(前提)から要約(結論)を導くロジック展開のことです。
このように、上の結論に対してその理由を列挙していきます。このようにまとめていくと、説得力のある提案ができます。ただし、ここで注意するのは、根拠の数が多いほどいいわけではないということです。
根拠は5つまでにする
1956年にアメリカの認知心理学者、ジョージ・ミラーが発表した論文「マジックナンバー7、プラス/マイナス2」の中で人間が短期記憶できる考えの数は7±2(すなわち5〜9)という研究結果を発表しています。ライティングの世界では安全をとり、5つを限界の数とするのが一般的とのこと。
よく「○つの理由」「○つのポイント」など目にする記事でも、数字が書かれていますが5つ以内のケースが多い。それはあまり数が多すぎると、内容を理解できる許容量をオーバーしてしまうからです。
あいまい言葉は使わない
あいまい言葉とは「見直し」「再構築」「問題」「適切な…」といった言葉です。ビジネスの日常では、ごまかし言葉として、そこかしこで気軽に使われています。これらの言葉がでるということは考えがまとまっていない、ということでもあります。
悪い例)営業組織の見直しを提案する
修正例)東京・大阪など大都市圏での営業人員を増大させる悪い例)営業戦略の再構築が必要である
修正例)営業戦略を、東京・大阪など大都市強化型に変更する必要がある悪い例)この商品は価格が問題である
修正例)この商品は小売価格にバラツキがありすぎる
すべてあいまい言葉を「具体的」に掘り下げています。要するに…というところまで考えるクセをつけましょう。
「So What?」を繰り返す
「So What?(それで何が言いたいの?)」という呪文があります。上のあいまい言葉がでてきた時にも使えますが、要するになんなのかをつきつめていくことで、霧が晴れて本当にいいたいことが明確になります。
まとめ
筆者はいきなり文書を書くのではなく、考えることからはじめるのがいいと主張されています。考えることと、書くことをわけるということです。
書いている途中でつまづくのは考えがまとまっていない証拠であり、いきあたりばったりの文章になりがちです。そうではなく、OPQ分析を使って読み手の関心事項を調べ、ピラミッドでロジックをしっかりさせて文章を構成すると、わかりやすく読まれやすい文章になります。
本書ではこの他にもさまざまな考え方やテクニックが完結にまとめられています。手元に置いておきたい一冊。興味のある方はぜひご一読をおすすめします。
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